クラフツマンシップ

1914年からモーガンが作られているピッカーズレイ・ロードのサイトは、モルヴァーンの山麓に抱かれるようにして建てられている。互い違いにレイアウトされたフロアは、それぞれのクルマが製造工程の各ステージを経るにつれて、丘の自然の斜面を下っていくようになっている。

すべてのモーガンは、アシュ(セイヨウトネリコ)、アルミニウム、レザーという3つのコア素材を使って精巧に作られている。構成素材と調和して機能するようにデザインされ、天然の特質が尊重されて、クルマのより高いクォリティが発揮される。昔からの技術をどうやったら適用できるか、その境界を押し拡げることによって、モーガンの1台1台はモダンデザインを取り入れながら伝統的な製法を賛美している。

モーガンのデザインとエンジニアリング

モーガン社内の研究・開発部門は、新しいクルマのコンセプトから生産までを開発する。効率的な製造を目指して設計しながら、手作りのクルマの魅力をとどめるのだ。

世界的な基準や認定に必要な条件が、新しいクルマのデザインに偉大なチャレンジを課する。本質的にクルマのコーチビルディングは、細かいことにこだわって時間のかかる仕事だ。設計の効率は業界規格の技術とソフトウエアで向上する。そしてそれぞれの新しいクルマは、厳格なデジタルシミュレーションと広範囲な物理的テストの洗礼を受ける。この習慣的な仕事は、私たちの既存モデルの進化にも適用されている。

モーガンのエンジニアとデザイナーは、私たちのディーラーや顧客と緊密に仕事をしている。「最前線」との密接な接触は、開発チームがオーナーのフィードバックをじかに受け取ることを可能にする。これが適切でエキサイティングなデザインの解答を引き出すのだ。

シャシー工房

モーガンの生産はシャシー工房から始まる。それぞれのプラットフォームは、熟練したテクニシャンによって慎重に手作業で組み立てられ、エンジン、ギヤボックス、パッケージの相対的な配置が、軽くて高性能な構造体を中心にはっきりと示される。ローリングシャシーは、次に電装、エンジン、クォリティなどの一連の厳格なテストを経た後に、ボディワークが載せられる。

木材工房

軽いアシュの木材から手作業で作られたフレームは、外装のアルミボディパネルと革張りの内装が取り付けられる構造材として機能している。多くの世代を通して伝えられた伝統的な技術が、各部のほぞ組みと多層合板のカーブの精密さを確実なものにしている。フレームは次に、自然の猛威から保護するために防腐剤に浸けられ、この先何十年ももつことを保証される。

アシュ材は長年モーガンに使われてきたが、これを使い続けているのはノスタルジックだからではない。アシュは軽くて長持ちして、扱いに驚くほど融通が利くからだ。天然素材を使うことに明らかな環境的利益があるだけでなく、軟材を使うことによって効果的な振動吸収も得られる。

板金工房

高度な技術を持つ板金工房の職人は、軽いアルミを扱いながら伝統的なテクニックと超現代的なプロセスを融合させている。これによって、モーガンのボディを魅力的にしている、よどみなく流れるようなパネルが達成されている。丸められたエッジや手で型抜きされたルーバーは、スーパーフォーミングされたフェンダーやレーザーカットされたパネルと、工芸とテクノロジーの魅力的な結合のもとで一体になる。

いったん完成したら、「ホワイトボディ」はメタルフィニッシングを施され、塗装の下地を準備する工房に運び込まれる。そこでは表面仕上げの専門家が、手作業で叩き出した金属パネルをさらにリファインする多段階のプロセスにとりかかる。なにひとつ欠点のない水準に整えて、最高品質の仕上がりを確実にするのだ。

塗装工房

自動車塗装の最新のメソッドが用いられて、モーガンのすべてのクルマの仕上がりがそのデザインと同じように第一級であることを保証する。塗装されたフェンダーやボディパネルのカラフルな列が、塗装工房の壁を飾っている。それぞれは、4万点もの選択の中から顧客によって選ばれたものだ。準備が整えられたあと、それぞれのクルマは、どのパネルも不完全とは無縁で安定した仕上がりになることを保証する密閉ブースの中で、ハンドスプレーされる。

内装工房

モーガンのコクピットは感覚の喜びを提供する。私たちのクルマはそれぞれ、少なくとも4種類の最高級レザーハイドを内装に必要とする。これは、私たちの職人に完成まで30時間以上を要させる仕事だ。私たちはレザーの色を全種類、さまざまな風合いの仕上げで用意している。天然のアニリン仕上げを施したレザーは、最高水準のイギリスのクラフツマンシップと肩を並べるのに必要な質感とクォリティにあふれている。

納車前検査

厳格なロードテストが行われた後、すべてのクルマは生産の最終ステージである納車前検査を迎える。明るいブースの中で、エキスパートのチームがすべてのパネルを自然光の評価ストリップの下で検査する。クルマは3段階のポリッシュ工程を経て、一片の曇りもない仕上がりになる。インテリアは清掃され、最終製品を保証するために磨き上げられた完成品が、染みひとつない状態で納車される。